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【Worlds KO Day3】LPLの死神が再臨!T1が完璧な仕上がりを見せ、TESを完膚なきまでに叩きのめす!【試合解説】

T1 vs TES

GAME1

TESはブルーサイドの1ピックとしてランブルを選び、T1はサイラスを取る。TESはCremeの得意ピックであるトリスターナと、それとの組み合わせでアイバーンを抑えた。TESはランブル、アイバーン、トリスターナ、ミス・フォーチュン、レオナという、サマーシーズンで1ティアだった典型的なダブルキャリー構成。一方で、T1はカミール、セジュアニ、サイラス、ケイトリン、バードという非常に個性的な構成を組んできた。

ファーストブラッドはサイラスが獲得したが、その後ミッドでTESが3人ダイブに成功し、一方でT1のボットダイブはタワーアグロを失敗してしまう。デスを許し、ランブルがゴールドを獲得して試合の流れが不安定になった。ゼウスのカミールはブッシュの視界を利用することで九死に一生を得た。

ランブルの成長が進み、カミールがサイドで押される可能性が出てきたため、T1はカミールをサイドに回してタワーゴールドをたっぷり稼いて、育てる選択をとった。そして、その分本隊が無謀に仕掛けることはなく、グラブとドラゴンの優位を確保したまま、今までの厳しい展開を打破するために耐えに行く。

そしてその耐えが勝利を呼び込む。27分のバロンファイトでは、FakerがランブルのRを奪い完璧な角度でキャスト。サイラスとカミールで一気にバーストし、5‐1トレードでエースを獲得した。TESはここで有利を気づかなければならないと判断し、2度目のバロンタッチを強行するが...

混戦の中、Onerがバロンスティール。ミクロでTESを圧倒し、T1が完全に勝利の流れを手に入れた。その後、T1は無理せずに4ドラゴンを確保し、インヒビターを3つ破壊。勝利を盤石なものにしてから、ネクサスを破壊した。

この試合でT1は常に最善の判断を下し、試合中ずっと利益を積み重ねた。TESが人数を集めて利益を得ようとすると、T1は即座に他の場所で利益を得る方法を見つけ、TESの利益を相殺した。この結果、焦ったTESがバロンに執着し始めたが、そこをT1が崩し、完璧なゲームプランでT1が勝利した。

選手一人一人を見ても、全員が自分の役割を完璧に果たしていた。良いルートで試合中ずっと影響を与え続けたOner、ADCへの徹底マークと見事なアグロピンポンでかき乱したZeusとFaker、優れたスキルショットとポジショニングで相手を一人ずつ片づけたGumayusi、そしてなぜ自分がバードスキンの持ち主であるかを証明するかのようにスキル回しを披露したKeria。全員が1人分以上の働きをし、TESを圧倒した。

陣形を整えてからの戦闘に強いTESの構成に対して、T1のチームカラーが噛み合わないのではないかという懸念があった。しかし、T1は忍耐強くカミールが十分に成長するまで、オブジェクトの守備とウェーブプッシュを着実に進め、TESに焦って戦いを仕掛けさせることを強制した。さらに、序盤育った369が中盤以降、Zeusのせいでサイドの管理に苦戦していた点も、TESを焦らせる一因となった。

GAME2

GAME2ではサイラスを1stで抑えたTES、対するT1はザヤラカンを早めに揃えた。ラストピックで、Fakerがルブラン、ヤスオ、ライズを見せ、観客が熱狂するも、最終的にはアーリを選んだ。

序盤は特にお互い問題なく進行、盤面が変わったのは2度目のグラブファイト。T1はすぐにTianをターゲットにし、チャームでキャッチ。2:0で集団戦を勝利し、グラブスタックも3:3にした。ただ、T1はそれだけでは止まらない。逃げていたJackeyLoveをFakerが単独で追い詰め、フラッシュEを華麗に決め、勢いを一層高めた。

16分頃、ミッドで睨み合いが続く中、TESはヘラルドを召喚したが、JackeyLoveがそのヘラルドに乗って右往左往。また戻って川側に逃げるという無駄な動きでヘラルドを消耗してしまううっかりシーンもあった。

その後、T1はバロンのブッシュでレルを捕らえてTESの人数差を作り、バロンを狙いに行く。TESはブルーサイドジャングルで隠れていたラカンを見つけ応戦しようとしたが、ラカンは悠々と3人をチャームしながら脱出。その間に他のメンバーが前に出過ぎた369のガリオを集中攻撃し、撃破した。復活したMeikoは、フラッシュからエンゲージを図るも、Gumayusiが完璧なタイミングのフェザーストームですべてを無効化。攻め手を失ったTESを叩き、T1はAceを取り、バロンも確保するという大勝を収めた。

その後、T1はなんと15:0の完璧なスコアでTESを粉砕し、Worldsディフェンディングチャンピオンとしての威厳を取り戻した。T1の勝利パターンの1つである、Zeusにピックの重みを与え、相手トップを潰す戦略が機能したと言える。369はメインピックであるランブル、レネクトン、カサンテが封じられ、苦し紛れにピックしたガリオではその熟練度の低さが目立ってしまった。

長らくサイラスが有利だったアーリとの対決で、今Worldsで初めてアーリが勝利を収めた。この日、Fakerアーリは完璧な仕上がりで、レジェンドの風格を見せつけた。

TESは連続でブルーサイドを取りながらも、レッドサイドのT1のピックバンに完全に振り回され、キルゼロで屈辱的な敗北を喫し、崖っぷちに立たされた。最大の敗因は369のガリオピックで、影響力が無く逆キャリーになり、チーム全体のメンタルが崩壊してしまった。Tianもまた、ヴィエゴとしての影響力は乏しく、4.1kというサポーター並みのダメージ量に留まった。JackeyLoveがチームダメージの40%を稼いだものの、ADC1人で試合を動かすには限界があった。

GAME3

TESは安定したパフォーマンスを見せていたラカンをバンし、ランブルもバンしてサイラスをファーストピック。だがその結果、ナーが解放され、Zeusは当然のようにナーをピックした。T1はジャックスをバンし、再びZeusに力を与える構成を進めたが、これに対して369はASケネンで変化を求めに行った。

TESはサイラス、シンジャオ、カイサ、ケネン、レオナの全力ダイブ構成。T1はこれに対抗して、ダイブ構成の代表的なカウンターとも言えるポッピーを選んだ。そして最後にシェンをピックするかと思われたが、なんとパイクに変更するという衝撃的な選択。Keriaはインタビューで「相手のピックがあまりにも良く、選ぶものがなくなったので、定石よりもむしろパイクのような大胆なピックが良いと感じた」と話し、驚くべき構成を選んだ理由を明かしている。

試合早々、パイクがブッシュからブルーバフを引き込み、シンジャオのジャングルを妨害するプレイを見せる。さらにミッドにロームすると、ガリオとの完璧なCCコンボを成功させ、サイラスを倒し、TESのミッドが完全に崩れる。Keriaによる「人格解体ショー」がすでに始まっていた。

10分頃には、TESがトップでダイブを試みるも、Zeusが即座にメガナー。ガリオのCCコンボが加わり、T1が大勝、さらにガリオがダブルキルを獲得する展開となった。

16分には、TESがバックテレポートを使いボトムで集団戦を開始。Onerを倒してGAME1ぶりになるキルを獲得した。さらにZeusのナーも倒し、このまま勢いづいて行こうとしていた。しかし、ここでもKeriaがTESの心をぐちゃぐちゃにする。Keriaがミニオンの間にいたJackeyLoveに見事なボーンスキュア、Rから飛び込み、試合の流れはTESにとってさらに暗いものになっていった。

26分には、T1がバロンタッチ。パイクの囮とポッピーの鉄槌が決まり、バロン獲得に成功。差をさらに大きいものにする。33分ごろ、T1は再びバロンを狙い成功したものの、ガリオが集団戦で倒され、その後のドラゴンはTESに取られてしまう。ゴールド差は6〜7千を維持していたが、ゴールドを集めていたパイクは時間が経つにつれて徐々に影響力を失っていた。

ただその分を、最後は相方が埋める。36分ごろに始まった集団戦で、T1はレオナにフォーカス。勢いそのままGumayusiが舞い続け、トリプルキルを獲得。TESの主要ディーラーを一掃し、そのままネクサスまで押し込んでゲームを終わらせた。

TESは不利な状況にもかかわらず、キルを取って粘りを見せたが、ザヤはカイサとのレベル差が2も開いていた。TESの抵抗は無意味に終わってしまった。

Keriaのパイクは、驚異的なスキルショット精度、果敢なローミング、そして的確なアルティメットの使用で圧倒的な視界掌握力を見せつけた。実際にKeriaは、キルを狙うだけでなく、スロウをかけたり、相手にスキルを使わせるような状況を自在に作り出し、パイクの高い熟練度を誇示していた。だが、1度捕まった後は試合の流れが止まってしまい、パイクというチャンピオン自体の限界も顕著に現れた。慎重に扱わなければならないピックであることを改めて示す形となった。そしてFakerのガリオも華麗なCCコンボを、Gumayusiは完璧なディールで国際大会におけるザヤの勝率を86.7%という驚異的な数字まで引き上げた。

今回もLPLの死神となったT1。バンピックやインゲームの完成度、全てにおいて相手を上回り、国際戦のT1ここにありと示した内容だった。対してTESは、そこまで大きなミスがあったわけではなかったが、ただただT1に敵わなかった。重要局面で負けてしまうチームカラーをより色濃いものにしてしまった。

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