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GAME1
BLGはGen.Gと同様にヨネを開け渡し、T1はすばやく1ピック目で選択。これに対し、BLGはアッシュとスカーナーというティア1ピックを確保し、T1はトップサイドをナーとセジュアニで構成する。その後、BLGはスモルダーが構成に会わないと判断した結果、最終的にサイラスを選択した。結果的にBLGはバランスがよくティアの高いピックで構成される一方で、T1はナー、セジュアニ、ヨネ、ケイトリンという4AD構成を組んだ。
決勝の舞台でいきなり事件は起きる。序盤から有利を取るべきだったGumayusiのケイトリンがインベードをもろでくらう。Eを取らされ、フラッシュを使わされた上で倒され、BLGは好調なスタートを切った。
その後もトップガンクやグラブファイトで2キルを追加し、序盤からBLGがリードを広げていく。T1は12分にZeusがメガナーからボットデュオを倒し、ある程度の損害を取り返す。しかし、15分頃に起きた集団戦でONが起動。完璧なエンゲージからアッシュがトリプルキルを決め、試合が完全にBLG側に傾いた。
その後の集団戦ではBLGがT1を圧倒。遠く離れた場所からのElkの正確無比なアローも飛び出した。最終的には、バロンバフを獲得したBLGがT1を完全に打ち砕き、1セット目を手にした。
BLGは27分間で3-15というキルスコアを記録し、1セット目からT1を支配した。バンピックとインゲームの両面でT1より優れたプレイを見せ、特にknightとElkの優れたウルト、そしてこれまでの不調を脱しクリーンなプレイを見せたONの活躍が目立った。
T1はGEN戦での姿が色あせるほどの痛烈な敗北を喫し、危機的状況に陥った。バンピックでもBLGにしてやられ、序盤のインベードでGumayusiが倒されたことで流れが崩れたことが致命的だった。トップではZeusのスーパープレイからT1がゲームを正常軌道に戻しそうだったが、そのZeusがクリスタルアローを受けたことで、T1が崩壊した。試合は大きく傾き、その後も反撃の機会を得られなかった。特に、今大会で安定した活躍を見せていたGumayusiが敗因の主要な要因となったのは痛手だろう。試合終了時のダメージ量はわずか5.1kに留まり、完全に抑え込まれてしまった。
GAME2
T1はブルーサイドでありながら、ヨネをBAN。その後、1stピックでアッシュでもカリスタをピックする判断をした。これに対してBLGは当然アッシュをすぐに選んだ。2ndフェイズでは、T1は突然オーンとノクターンをピックした一方で、BLGはシンジャオとラカンを選んで比較的バランスの取れた構成を整えた。結果として、T1はダイブ構成を完成させたが、ダメージが不足する恐れのある構成。対して、BLGはカウンター力とイニシエート力を備えたバランスの良い構成を作り上げた。
またしてもインベードの悪夢がT1を襲う。序盤のインベードでT1がラカンのノックアップに捕まってしまい、結果的にGumayusiがGAME1と同じ場所でアッシュに倒され、BLGがまたもや有利なスタートを切った。
このままBLGが攻め続けるかと思われた。トップ側でGuma-FakerデュオがBinを追い詰めている中、knightのガリオがテレポートでカウンターを狙う。フラッシュタウントでGumayusiを狙うが、緊急支援を受けたGumayusiがギリギリで生存。OnerとFakerが合流して2対0の交換に成功。その後、T1は5人でトップダイブを仕掛け、絶妙なアグロ管理を見せて3対1の交換を決め、瞬時に優位を築いた。
TOPで掴んだ流れを活かし、T1が難なく6匹目のグラブを取る。そしてヘラルドファイトでは、BLGが体力管理ができていないサイラスに先手を取るも、ノクターンのウルトによる視界遮断によってXunがシン・ジャオのウルトでサイラスを逃がしてしまう致命的なミス。KeriaもカリスタRで生存し、T1のカウンターウルトコンボがぶっ刺さり。3対0の交換とバロンを獲得し、大きな利益を得ることができた。
ピック時の予想とは逆にBLGがダメージ不足に陥ってしまう。すべてのアクションがダメージ不足でうまくいかないBLG。T11が見事なスノーボールでBLGを打ち破り、ネクサスを破壊して2セット目を勝ち取った。
Fakerは驚異的なクラッチプレイを連発し、「不死の大魔王」と呼ばれる理由を証明した。ヘラルドファイトでの生存に加えて、4対1の奇襲をいなしたことも印象的だった。シン・ジャオのウルトを盗んで耐え、王殺しで体力を回復しつつ敵の攻撃を回避して最終的に完全に生き残るという驚異的なクラッチプレイで試合を決定づけた。
T1はサーカスのような見事なプレイを成功させ、GAME2を制してシリーズを振り出しに戻した。特にカリスタを使いアッシュ相手に勝利したこと、そしてタンクを得意としない印象の強かったZeusがオーンでチームを支えきったため、非常に価値のある試合となった。また、T1とBLGが互いに高レベルの戦略と読み合いを見せる中、T1の集団戦での圧倒的な火力が光る試合であった。
BLGは接戦の中で自分たちが先に崩れてしまった。ダメージ不足が祟り、相手のプレイに対して反撃ができず、キャッチしようとしても毎回失敗に終わる場面が続いた。また、BLGにとって頭を悩ませることとなったのは、カリスタvsアッシュで負けたこと。アッシュが有利とされる中、カリスタを先にピックしたT1に対し、アッシュを選択したBLGが敗北したことは今後のバンピックに重くのしかかることが予想される。
余談として、2試合連続で勝利チームが18キル対3キルで勝利した。
GAME3
互いに1セットずつ圧倒的な勝利を収め、決勝シリーズの山場となるGAME3を迎えることとなった。
BLGはブルーサイドでアッシュをバンし、カリスタを先にピック。そのパートナーとしてブリッツクランクを選択した。これに対してT1は、Binのシグネチャーチャンピオンであるジャックスと、カリスタと相性の良いレナータを奪い取った。2フェーズではBLGがXunのシグネチャーであるキンドレッドとガリオを選ぶ。T1は多くのADCがバンされた状態で、Gumayusiのもう一つの得意チャンピオンであるザヤを選択した。
試合序盤ではOnerがキンドレッドのマークが付いたスカトルを先取りすることに成功。しかし、これはXunの罠だった。フラッシュ3つを使ってまでヴァイを追撃し、ファーストブラッドをBLGが獲得。
直後にはミッドでBLGのジャングルとボットがサイラスを狙って連続得点を挙げる。10分頃にはBLGがトップダイブに成功する一方で、T1はミッドでボットデュオ狙いが失敗。逆にBLGが引き寄せられたT1のメンバーを次々に撃破し、序盤の有利を築ききった。
BLGの猛攻をT1は耐えられない。BLGはT1のタワーを削りながらゴールド差を大きく広げ始めた。T1は状況打開を図ってトップのガリオを狙う判断を下すも、ザヤがいない状況であったためガリオを仕留めきれない。Binのテレポートが間に合い逆に全滅させられてしまった。
これでBLGがバロンを獲得し、試合の流れが完全にBLGに傾いた。最終的にBLGは大きなリスクもなくT1をじっくり追い詰め、圧倒的な差をつけ3セット目を制することに成功した。
BLGが1セット目の展開完璧に再現し、圧倒的な勝利を収めた。さらに、前の2セット目と同じく試合時間27分、敗北チームのキルが3つだけという結果に終わった。
GAME4
これでBLGはマッチポイントに到達し、初の中国純血チームとしての優勝まであと一歩のところに迫る。逆にT1は、12年積み重ねてきたワールドのBO5での対LPLチーム全勝記録が崩れかねない最後の危機に直面した。このままBLGがT1を打ち破ってT1のLPL無敗神話が終わるのか、それともT1が“シルバースクレープス”を作り出して試合を持ち直すのか注目されているGAME4となった。しかし、今。
BLGはアッシュの代わりに2セット目でT1が活躍したカリスタをバンし、アッシュをピックした。BLGはジグスとナーで構成を整え、T1は準決勝で勝利をもたらしたアッシュ-レナータのコンビを完成させた。そしてBLGは1セット目で悩んだスモルダーをピックし、スモルダー-ジグスの2枚のレイトキャリーを揃えた。
BLGはZeusを潰しにかかる。4人ダイブでZeusのランブルを狙い、Zeusはランブルを使って最大限抵抗したものの、最終的には倒されてしまった。T1はやり返しとして、トップサイドではBinのナーをできるだけ圧力をかけて成長を阻止するも、ボットサイドではフラッシュを失ったZeusのランブルが再びダイブされ、瞬く間に2デスを記録。さらに2分後、セジュアニが再度現れ、Zeusは3デス目を記録した。なんとか、T1はトップサイドでナーを抑えつつオブジェクトを独占することで挽回した。
10分、FakerがElkのジグスをソロキル。Elkはタワー下まで下がれたものの、Fakerはタワーのアグロを受けながらも容赦なくElkを追い詰め、Elkはフラッシュを使っても逃れられず倒された。
T1はこのままトップサイドで圧力をかけていくが、それをBinが許さない。15分、T1がアローからダイブを狙うが、ナーが変身し見事なカウンター。そのうえでギリギリで生き残り、逆にT1が全滅してトップ1タワーを失った。
しかしここでFakerが試合の流れを変える。20分頃、ミッドタワーを取って撤退する中、Fakerが強奪したラカンのRを使ってイニシエート。ランブルとレナータのウルトが重なってBLGの火力陣を打ち砕いた。ミッドセカンドタワーを破壊した後、T1がバロンを獲得し、試合の流れを手繰り寄せた。
バロンバフを活用して攻めるT1。キャッチも重ね、T1が相手のレイト構成を打ち砕くべく、ドラゴンソウルを速やかに手に入れた。
Fakerは、この試合でワールズ史上初の500キルという大記録を達成し、自らの偉業を証明するようなプレイを見せた。その後、ナーのRを使用して突撃し、危うく倒されかけるも、再びギリギリで生き延びた。
エルダーファイトでは、Onerが捕まり倒されも、ここでもFakerが暴れまわる。ボットにテレポートしてBinを潰し、集団戦で勝利。SilverScrapesが響き渡る結果となった。
結局、T1の危機を救ったのは、昨年と同様にWorldsのFakerだった。トップでジグスのフラッシュを奪いながらのソロキル、ミッドでのフラッシュイニシエートでジグスとスモルダーを倒してファイトを制し、バロンを取った後のボットタワーでナーを倒し、キャリー陣のフラッシュを奪い、最後のファイトでナーとジグスを一手に抑えながらゲームを締めくくった。チームのエースが見せる圧倒的なプレイで、なぜ彼が伝説と呼ばれるのかを証明する一戦であった。まさにFakerで始まり、Fakerで終わったと言っても過言ではないプレイを披露した。
BLGは「どうせ後半にスモルダーを持つ側が勝つ」という戦略でスモルダー+ジグスを選び後半まで守り切ろうとしたが、対戦相手は決勝のT1だった。T1は攻勢をやめずオブジェクトを独占し、結果的に寝そべっていたBLGはそのまま沈没してしまった。BLGは優れた集団戦判断でT1との戦闘で連続して勝利し構成の成長を加速させたが、最終的には魔王一人に阻まれたのだった。
GAME5
2022年Worlds以来で、2年ぶりに決勝でテレーレが鳴り響いた。
バンピックは序盤から激しい読み合いが展開。BLGはブルーサイドを選び、T1は両者が得意とするアッシュとカリスタ、そしてそれらがバンされた時に最も無難なヴァルスをバン。そうした中でBLGは今日初めてBinにジャックスを持たせる。対してT1はチャンピオン相性が良く、Zeusが得意とするシグネチャーピックであるグラガスを選び、「Binのジャックス vs Zeusのグラガス」という奥義のぶつかり合いが最終戦で実現した。さらにT1は前セットで活躍したサイラスをあえて避け、ガリオをミッドにピック。BLGはカイサとKnightのシグネチャーであるアーリをピックし、T1もGumayusiのシグネチャーであるザヤをピックして応戦。T1はキンドレッドをバンし、BLGはザヤのパートナーであるラカンとレナータをバン。T1は再びポッピーを選び、突進系チャンピオンの対策を万全にした。Xunは昨年得意としたジャーヴァンをピックし、最後のピックでレルを選択。最終的にOnerがシン・ジャオをピックし、ポッピーをサポートに回す構成となった。
このバンピックを総評すると、BLGはBinのジャックス、Xunのジャーヴァン、Knightのアーリ、Elkのカイサといった各選手が得意とするピックで構成を組み、T1はグラガス-シン・ジャオ-ガリオ-ザヤ-ポッピーという突進系チャンピオンを完全にカウンターできる構成を完成させた。最終戦で最強の矛と最強の盾がぶつかる形となった。
ガリオがアーリのフラッシュを落とすなどの威圧的なプレイを見せたものの、自身もフラッシュがなくジャーヴァンのガンクを受けてファーストブラッドを献上。これで5試合すべてでBLGがファーストブラッドを獲得した。
しかしその後の2度目のガンクで、FakerがアーリのチャームをEで後退しながら避ける華麗なプレイを見せる。差をつけきれなかったBLG。そしてグラブ争いでは、OnのレルがフラッシュQをミスして逆に倒され、T1がグラブを3体先制した。
華麗な活躍を見せるガリオに対し、レルのデッドが目立ち始める。これによりカイサの成長が遅れ、BLG側には暗雲が立ち込める。前セットで活躍したFakerを警戒するあまり、BLGはミッドに過剰にリソースを投入。しかしその反動で他のレーンはT1が優勢に立ち、特にADC間の差が大きく開くこととなった。
ただしここでBLGは冷静な立ち回りに切り替える。極力アクションを起こさず、ゴールド差を縮める選択。相手にキルを渡さず、T1のリードを少しずつだが確実に埋めていく。T1はドラゴンスタックで先行することはできたものの、つけたゴールド差は完全に埋まっていた。
26分ごろまで両チームは無理に仕掛けることなく視界争いが続いたが、耐えきれなくなったレルがグラガスに攻撃を仕掛けた。しかし、突進対策が万全なT1が瞬時にレルを撃破したことで、T1が3つ目のドラゴンを獲得し、ソウルにリーチをかける。
29分頃、ドラゴン前のリバーでついにファイトが発生。ジャーヴァンのフラッシュRとザヤのフラッシュRが交換された状態で、BinのジャックスとカイサがT1のボットデュオに飛び込んでいく。T1の突撃対策を潜り抜け、BLGが4対3の数的有利を得る。しかし、T1は諦めない。ミッドまで引き寄せてから、3人で固まって応戦。Onerがダメージを出し切り、ADCがいない状態での戦いを勝利。エースを達成してバロンも確保した。
此処でくじかねば敗北が確定するBLG。バロンを狩り終えてすぐにグラガスを狙いに行くが、そこに刺さる英雄降臨。人数不利の中、ギリギリでZeusがカイサと相打ち。Fakerのガリオがゾーニャで耐え抜き、T1の他のメンバーが合流してチームファイトで勝利。「不死の大魔王」ここにありと示したのち、そのままトップに押し込み、ネクサスを破壊し、T1は2022年のDRXの奇跡を再現した。
優勝まであと一歩のところまで迫ったBLG。LPL無敗のジンクスを打ち破り、世界最強の座を手に入れる直前、立ちはだかったのはFakerだった。ゲームの流れを手繰り寄せ、五度目となる世界王者となったFakerが堂々たるFinalMVPを獲得。
誰よりも”王冠の重み”に相応しい男となった。