今回はMSIを100倍楽しむために、出場する全チーム、そして注目選手を紹介する。
国際戦に詳しくない人も、応援している地域がある人も是非一度見て見てほしい。
目次
LCK
Gen.G
LCKを連覇し、後は国際大会の優勝だけ
Gen.Gは、最高峰のリーグであるLCKでこの春17勝1敗という戦績で駆け上がってきた。このチームは2022年からLCKのトップに立ち続けている。今回で4連続の優勝を成し遂げており、これは全てT1を倒して獲得したものだ。GENGの問題に、国内での実力を国際大会の舞台で発揮できていないというものがある。昨年のMSIでは4位で終わっている。Worldsではトップ8止まりで、トップ4には届かなかった。評価されるべき結果ではあるが、GENGの実力と期待感を考えると少々物足りない。4連覇の勢いでジンクスを破れるか。
オフシーズンには、Gen.Gは大幅にメンバーを入れ替え、スターミッドレーナーChovyと新進気鋭のADキャリーPeyzだけを残した。今年からCanyon、Kiin、Lehendsが加入したこのロースターは、LCKのドリームチームだという声も少なくない。
注目選手:Chovy
Chovyは世界最高のミッドレーナーの称号をほしいままにしている。今期の活躍は言わずもがな。安定したレーン戦は健在で、追い詰められた際のプレイメイキング能力すら手に入れてしまった。今年はKiinと2人でGENGをキャリーしまくったChovy。唯一足りないものは、国際戦での結果だけ。今年こそ国際戦のタイトルを掴み、無冠の王者の戴冠を見られるのか。
T1
昨年のWCSの再来目指す 7年ぶりのMSI王者に返り咲けるか
世界チャンピオンがMSIに出場しない予想をした人はおそらくいないだろう。Faker率いるT1はLCKシーズン終盤でHLEに大敗を喫し、勢いを失ったかに思われた。しかし、準決勝で見事修正。MSIの出場権を獲得した。その後の決勝では、GENGに4連続目で敗れてしまってはいる。
昨年度はMSI準決勝でBLGに敗れたT1。あの時と違うことは、国際タイトルへの長い渇きと思い重圧が減ったことだ。DDoS問題を乗り越えた今年のT1。昨年度のWCSで披露した国際線の強さが光れば、LoLの最も偉大な組織と最も偉大なプレーヤーが、再びMSIのタイトルを7年ぶりに手に入れることになるだろう。
注目選手:Zeus
T1のキャリーの主軸であるZeus。T1の勝ち王道勝ちパターンにZeusがノーリソースでTOPで有利を取り、強力なBOT組の有利と合わせてJGMIDが試合というのがある。しかし、決勝ではKiinにかなり苦しめられ、試合をうまく運べなかった。今年のMSIにはKiinだけでなく、今季絶好調の369と昨年のMSIの主人公だったBinまでいる。間違いなく激戦区となるTOPで、Zeusが暴れられるか否かがT1の勝敗を握るだろう。
LPL
Bilibili Gaming
去年のMSIの主人公 今年こそ栄冠を掴めるか
昨年から一気に頭角を現してきたBLG。昨年度のMSIではJDGに敗れて、準優勝。強豪となったこのチームも、未だ世界タイトルはとれていない。今年からはそのJDGから中国随一のミッドレーナーであるknightが合流。欠けていたピースが揃い、JDGを打倒してシーズン首位。15勝1敗を記録し、MSIへの出場権を獲得した。
中国チームはここ3年間MSIを制し続けている。中国開催となる今回のMSIで、BLGがたくさんのファンの期待に応えられるか。
注目選手:Elk
今季のLPL No.1ADCとの呼び声の高いElk。以前よりその攻撃性が評価されていたが、反面不安定さが指摘されてはいた。しかし、今期は昨年度からコンビを組み続けているONと共に他のボットを安定して圧倒。ONの鋭いゲームメイク力とElkのキャリー力は、あのRulerを押さえつけてしまうほど。是非終盤のElkのディールには注目してほしい。
Top Esports
2連覇を目論む最強TOPとともに、自国開催を盛り上げる
WCSには2回の出場経験があるものの、今回が初のMSI出場となるTES。去年のMSI王者であるJDGを打ち倒してMSIへの権利を手に入れた。今年TESは補強に大成功した。元EDGで大ベテランのMeikoと、元JDGの369の加入だ。特に、369は去年のMSIでの優勝を経験しているため、2年連続のMSIチャンピオンとなる可能性を秘めている。また、ミッドにはOMGに所属していたCremeを起用。TOPとADCがキャリーレーンとなるTESで下支えを行い続けてきたCremeは、今回が初の国際戦となる。
BLGと同じくTESは中国人のみで構成されているチーム。自国開催で自国のチームが連覇をしているなかで、LPLチームに送られるプレッシャーと愛は果てしないものになるだろう。こちらもその思いに応えることができるのか。
注目選手:369
今季の成績だけを見れば、LPL、そして世界で一番強いTOPレーナーは369になるだろう。どの部分をとっても超一流。レーンから有利を生み出し、不利状況すらもひっくり返してしまう今年の369は一味も二味も違う。メタでも得意ピックのレネクトンの復権が大きな追い風となっている。数字の大きさで強さを表されるミームがある369だが、今年の活躍は間違いなく999。国際線の舞台でも暴れられるか。
LEC
G2 Esports
EUの絶対王者 得意の"G2マクロ"でアジアの強豪を乱せるか
LECでの支配を続けているG2。LECウィンタースプリットを制した後、チームはMSIとWorldsを含む5回連続の国際大会出場を決めた。春スプリットも勝ち切り、14回目のLECタイトルを獲得。ちなみに、G2とFnaticの古典的なライバル対決となった決勝戦だったが、これは2020年の夏以来初めてのファイナルでの対決だった。
今のLEC最強は間違いなくG2だろう。昨年からロースターを一切変えずに挑むG2。アジア勢が暴れるだけのここ数年の国際大会だが、G2が2019年にMSIを制したことを忘れてはならない。あの時のEUファンにこびりついたドリームチームの記憶を、CapsとMikyxは自らの手で変えられるか。
注目選手:BrokenBlade
あのEviも「LECで飛びぬけてうまい」と評価するBB。今期のBBはZeusも行っていたポケットピック・ザックでのキャリーや、サイオンを活かしたスワップ戦略など、様々な戦略の根底を担ってきた。例年以上に強者ぞろいの今年のMSIのトップレーン。BBが国内と同じような活躍をすることができれば、一気にG2のレンポで試合を進められるようになるだろう。
Fnatic
新生韓国人BOTデュオで、古豪復活の足掛かりを掴む
国際大会の常連Fnatic。7年連続でWorldsに出場しているが、実は2018年以来の初めてのMSIへの出場となる。興味深いことに、そのロースターの2人の選手が他のチームから今年のMSIに出場する。それはG2のCapsとFlyQuestのBwipoだ。Fnaticとしては旧友たちを打ち倒すことが、勝ち進むために必要となるだろう。
Fnaticにとっては、昨年Worldsに出場したほぼ同じロースターでMSIに出場する。Oscarin、Razork、Humanoid、Noahの4名に、今年から新しいサポートとしてJunが加わった。韓国人BOTデュオが素晴らしいパフォーマンスを見せ、春シーズンにG2以外のほぼすべてのチームを倒したFnatic。不安定なロースターで苦しんだ例年と比べて、がっちり固めて挑む2024年初の国際戦。古豪の強さを見せられるか。
注目選手:Humanoid
EUが生んだ精密機械・Humanoid。現Fnaticのロースターの中では最も経験豊富な選手だ。今期はCapsの大活躍の前に2番手の座で甘んじたが、過去にLEC最強Midと呼ばれたその実力は折り紙付き。まだ、経験の浅い選手が多いFnaticでは、実力・経験を兼ね備えたHumanoidが対面を抑え込むことが、格上に勝つための重要な要素になるだろう。
LCS
Team Liquid
逆境を力に変える 快進撃の勢いのまま突き進めるか
この春、Team Liquidは本当にレベルアップした。スプリットを4位で7勝7敗で終えたTL。FlyQuest、100 Thieves、Cloud9をプレイオフで打ち倒すことは、だれも予想していなかった。特に、開幕戦でFlyQuestに敗れたときはもう終わったとされていた。しかし、その敗北の後、TLは下位ブラケットで連勝。2022年のLock Inを制して以来の初めてのLCSチャンピオンシップを獲得した。
TLのMSI進出は、2019年にまだDoubleliftが在籍していたとき以来だ。その時からロースターに残り続けているのはCoreJJだけだが、信頼できるImpactを再びトップランナーとして迎え入れている。これら2人のベテランの間で、APAとYeonという若いNAの才能にベットし続けていた。また、過小評価を受けていた韓国の才能・UmTiの加入も快進撃の足掛かりとなった。
注目選手:APA
昨年LCSデビューした期待の新人MIDレーナー・APA。名前の由来は"always plan ahea,"(事前に計画する…と打とうとして文字数が足りなかったいう無計画?)というアマチュア時代のSNの頭文字をとっている。オレリオンソルやジグスのような癖のあるメイジを得意としており、かなりダメージを出すプレイヤー。プレイオフではチームの躍進に貢献し、FinalのMVPに選ばれた。NAの若き才能の芽生えが、LCSの未来を大きく変えるかもしれない。
FlyQuest
EU生まれの勇が引っ張る強豪 NA>EUを証明しに行く
昨年のLCSスプリングスプリットで首位になったものの、MSIの資格を得ることができなかったFlyQuest。今年も首位の順位を獲得、昨年と同じ轍を踏まずにファイナルに進出。初めてのMSI出場が決まった。
昨年の夏シーズンが終わった後、FlyQuestはBwipoとInspiredという見過ごされていたEUの才能を核とし、MassuとBusioという若手をボットデュオコンビを加えてチームの再建を行った。チームの中心には、北米の常勝チャンピオンであり、Worldsの予選を通過したJensenを据えている。惜しくもFinalでTLの勢いを止めきることはできなかったFQ。メジャーリージョンの中でも見くびられているNAの評価をひっくり返せるか。
注目選手:Inspired
JGとして天性の嗅覚を持つプレイヤー。フィドルでの変則的なアクションからヴィエゴでの攻撃的なキャリームーブまで、何でもこなす安定感が持ち味。Rogue時代にLECでのJGとして初のペンタキルをヴィエゴで達成しており、爆発力も兼ね備えている。レーンのフィジカルではアジア地域に劣ると予想されている中ではあるが、Inspiredの盤面支配力があれば強豪に一太刀入れることができるかもしれない、そう思わせてくれる選手だ。
PCS
PSG Talon
SHGを倒したFlashWolvesの魂がメジャーリージョンに牙をむく
LCO、そしてLJLが合流したPCS。プレイオフでは混戦が起きたが、PSGだけはPCS地域代表として堂々と立ち続けた。PCS決勝では、そこまで快進撃を続けていたSHGを完全に攻略し、MSIの出場権を獲得した。今年のメンバーは、昨年のMSIとWorldsに出場した時とほぼ同じだが、今回はBettyがADCとして参加している。これは、BettyとミッドレーナーのMapleとの再会でもあった。2017年と2018年に国際的に活躍したFlash Wolvesのメンバーである二人。LMSからPCSへと多くの変遷を続けてきたが、彼らの実力は衰えていない。
ちなみに、PSG TalonのXはトラッシュトークメーカーとしても有名。多くの画像を試合前と試合後に投稿しているので、是非確認してみてほしい。
注目選手:Maple
LJL最後の希望・SHGは、Mapleの前に崩れ去ったと言っても過言ではないだろう。覚醒していたDahserを的確なプレイで押さえ続け、集団戦でもビッグプレイを連発していたことは記憶に新しい。冷静で的確なプレイの数々。FWで名をあげて、LPL・LCSを渡り歩いて帰ってきた大ベテラン。Mapleがメジャーリージョンの名だたる選手を抑える可能性は低くないだろう。
VCS
GAM Esports
八百長問題に揺れるVCS GAMが風を再び吹かせられるか
VCSの支配を続けているGAM。GAMは2022年春から5連続でVCSを制覇している。今期の決勝ではVikings Esports(旧Saigon Buffalo)を破り、MSI出場権を獲得した。GAMはオフシーズンに大幅なメンバー変更を行っており、チームのベテランであるKiayaとLeviだけを残している。GAMはWorldsのプレイインステージを突破した数少ないマイナーリージョンのチームであり、スイスステージでTeam Liquidに勝利を挙げた実績も持っている。
現在VCSは八百長問題に揺れており、リーグ存続が危ぶむ声も多くなっている。現にGAM内でも活動ができなくなった選手もおり、急遽のロースター変更を余儀なくされている。VCSの復活のためには、少なくともGAMがMSIで暴れる必要があるだろう。
注目選手:Levi
ベトナムを代表する超攻撃特化型JG・Levi。メジャーリジョン経験もあるLeviのスピード感の前には、名だたる強豪が後れを取ることもしばしば。今回のMSIではFnaticという、今までに土を付けたことのあるチームとの対戦も予定されている。あの時見せた痛烈なノクターン。もう一度悪夢を見せられるか。
LLA
Estral Esports
自国選手5人で初の国際戦に挑む 南米の燃える情熱
LLA決勝でMovistar R7を破った後、ついにMSIでの国際戦デビューを果たすEstral Esports。Estralは2021年以降、ラテンアメリカでは名門チームの一つであったが、MSIとWorldsの出場資格を得ることはほとんどなかった。実際、これまでの5回のLLAプレーオフでは4回も2位に終わっていた。
ZothveとSNAKERは、今回のMSIで国際デビューを果たすが、他のメンバーはMSIまたはWorldsでの競争経験がある。経験豊富なJosedeodoを筆頭に、自国選手5人で、世界の強豪、ひいてはT1に戦いを挑む。
注目選手:Josedeodo
LLA内でも一二を争う有名選手であり、世界的にも知ってる人も多いJosedeodo。2020年にR7でWorldsに出場し、その後2021年から2022年まで北米のFlyQuestでプレーしていた経験も持つ。Josedeodoの得意チャンピオンはカジックスやリーシンなどの攻撃的なJG。アグレッシブな動きに注目だ。ちなみに、今回のMSIには古巣・FlyQuestも出場している。グループは違うが、対戦の可能性は十二分にある。
CBLOL
LOUD
マイナーリージョンの星・ブラジル 盛り上がりを強さに変えられるか
ブラジルの絶対王者になりつつあるLOUD。決勝ではLJLファンみんな大好き・TitaN率いるpaiN Gamingを下し、4連続の国内タイトルと4連続の国際戦出場を果たした。LOUDは、昨年のWorldsとMSIに出場した際とほぼ同じメンバーでMSIに出場する。唯一の変更点は新サポートのRedBertだ。RedBertは中々のベテランで、2回のWCS出場を経験している。
現在大盛り上がりのCBLOL。決勝では45.5万人の同接を叩き出すなど、注目度はうなぎのぼりだ。実力もメキメキとつけており、昨年のMSIプレイインではPSGとDFMに勝利を挙げている。マイナーリージョンの星であるLOUDが輝きを見せられるか。
注目選手:Robo
プロ7年目のブラジルのレジェンドプレイヤー。今期の優勝で総優勝回数は7回とBrTTの記録を抜き、CBLOLで最も多く優勝した選手となった。BrTTの引退を考えると、生ける伝説、ブラジルにとってはFakerのような存在かもしれない。そんなベテランだが、未だ腕は衰えておらず、今季も大活躍。FinalのMVPにも選ばれた。MSIで最も魔境とされるTOPレーン、ブラジルの英雄の活躍に注目だ。